ゲーム好きな方からしたら「自分でゲームを作ってみたい」と1度は思ったことありませんか?プログラミング言語の「C++」を使用すれば初心者でもゲームを簡単に制作できます。そこで今回は、C++を使ったゲーム制作方法と注意点について、詳しく解説していきます。
C++とはC言語の拡張版プログラミング言語
C++(シープラスプラス)とは、C言語をもとに改良され、機能拡張したプログラミング言語です。略して、「シープラプラ」や「シープラ」と呼ばれます。C++は、次のような機能を施しています。
機能 | 概要 |
---|---|
オブジェクト指向 | プログラムの要素をオブジェクトという部品にわけて作成・操作し、1つのプログラムを作る考え方 |
多重継承 | 複数の親要素から属性やメソッドを受け継いで、新しいものを作る機能 |
テンプレート | 型に依存しないコードを記述して、プログラムを作成する機能 |
関数・演算子のオーバーロード | 関数や演算子などを利用する際に、引数などに応じて使いわけられる仕組み |
例外処理 | 通常起こらないことが起きた場合に行う処理 |
このような機能があることで、複雑な処理を効率的かつ柔軟に管理できます。また、再利用性やパフォーマンスも向上するため、ゲーム開発がスムーズになります。
C++を使ったゲーム制作の方法4ステップ
C++を使ってゲームを簡単に制作する方法を、以下の手順で紹介します。
〈C+を使ったゲーム制作方法〉
1. ゲームのコンセプトを決めて仕様書を作成する
2. 開発環境をパソコンにインストールして整える
3. アーキテクチャを設計する
4. プログラムの実装・デバッグを繰り返す
それぞれの手順の詳細について、解説していきます。
1. ゲームのコンセプトを決めて仕様書を作成する
はじめにゲームのコンセプトを決めましょう。ゲームのコンセプトを決める際は、以下の内容を明確にしなければいけません。
- ゲームジャンル
- 物語
- 世界観
- 目的
- 登場するキャラクター
上記の内容をまとめて、仕様書を作成します。初めてゲームを制作する方は、小規模のゲーム設定から始めましょう。
2. 開発環境をパソコンにインストールして整える
次に、C++を使ってゲーム制作をするための開発環境を用意しましょう。ゲームを作る手段は以下の2つです。
- 統合開発環境(IDE)をインストール
- ゲームエンジンの活用
それぞれの手段を以下の表にまとめました。
統合開発環境(IDE) | ゲームエンジン | |
---|---|---|
概要 | ソフトウェアの編集や構築など、ゲーム開発に必要な機能が揃っているソフトウェア | プログラミング知識がなくても、効率よく高品質なゲームが作れるソフトウェア |
代表的なもの | ・Visual Studio ・Code::Blocks ・Eclipse ・GNAT Programming Studio ・CodeLiteなど | ・Unity ・Unreal Engine ・Cocos2d-x |
制作したいゲームの規模と予算を検討して、ソフトウェアを選択し、開発環境を整えましょう。
3. アーキテクチャを設計する
ゲームのアーキテクチャを設計しましょう。アーキテクチャとは、プログラムの構造を具体的にすることです。たとえば、ゲームエンジンを使用する場合、「アクター」と呼ばれるオブジェクトを作成します。オブジェクト作成後「Blueprint(ブループリント)」を使い、C言語を使わず簡単にコードを作成して設計していきます。Blueprintとは、ゲームエンジンのUnreal Engineを用いて開発を行う場合、ノードベースを使ってプレイ要素を作成するためのビジュアルプログラムです。「どのような構造にすれば開発しやすいのか」「どのようにコードを記入すればゲームに反映させられるか」を考える必要があります。
4. プログラムの実装・デバッグを繰り返す
設計したアーキテクチャをもとに、プログラムを実装しましょう。C++の場合は、クラスや構造体、関数などを使用してプログラムを構築します。また、エンジンが提供するAPIを呼び出すと、ゲームの動作やグラフィックスを制御できます。必要に応じてテストを行い、エラーやバグがないかを確認し、修正して完成です。この一連の流れを「デバッグ」と言います。
C++を使ったゲーム制作のメリット3つ
ゲーム制作時にC++を使うメリットとして、以下の3点が挙げられます。
〈C++を使うメリット〉
・C言語より複雑な言語処理ができる
・プログラムの実行速度が速い
・C言語と互換性がある
それぞれ詳しく解説していきます。
C言語より複雑な言語処理ができる
C++は、C言語の機能を拡張した言語であるため、自由度が高く複雑な言語処理ができます。たとえば、規模の大きいオンラインゲームや、解像度の高いグラフィックゲームなどに使えます。そして、C言語で書かれたプログラムをC++に対応できるように変換できるため、非常に便利です。複雑な言語処理を広い範囲で快適に動作できます。
プログラムの実行速度が速い
C++は、プログラムの高速な実行速度が可能です。そもそもC言語類のプログラム言語は、処理速度が速いという特徴があります。そのなかでもC++は、複雑な言語処理にも対応できる利便性を持ち、大きな負担や遅くなりそうな処理速度にも対応可能です。ゲーム開発以外にも、公共機関システムや動くロボット制御などに重宝されています。C++は、実行速度が速いため、多くのデータを取り扱い、ハードウェアの制御も得意です。
C言語と互換性がある
C++はC言語と互換性があるため、C言語を用いて作られたプログラムをC++に移行できます。具体的には、C言語からC++に変更する際に、C言語で書かれたソースコードをC++に書き換えられるということです。また、C++とC言語を同時にソフトウェア開発に用いることも可能です。一方、C#はC++とC言語と似ていますが、互換性はありません。
C++を使ったゲーム制作をする際の注意点
一方、ゲーム制作時にC++を使う場合、以下の2点に注意しましょう。
〈C++を使う場合の注意点〉
・複雑な言語であるため習得に時間がかかる
・コードの記述量が多くなる
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
複雑な言語であるため習得に時間がかかる
C++は、複雑な言語で難易度が高いプログラミング言語であるため、完璧に身に付けるまで時間がかかります。プログラミング初心者は、C言語のほかにコンピュータの仕組みや、オブジェクト指向について学ばなければいけないため、時間と労力が必要になるでしょう。しかし、C++を身に付ければ、幅広いシステムに活用できるため、自由度が高くなります。また、フレームワークの構築も柔軟に対応できるでしょう。
コードの記述量が多くなる
C++は、他の言語と比較すると、同じ機能を実現するための必要なコード量が多くなる傾向にあります。なぜなら、C++のソースコードは、C言語におけるオブジェクト指向や、コードの再利用性と型安全性を高めているからです。また、他の言語では省けるソースコードでも、C++の場合は文法量が多くなり、複雑になってしまいます。
C++についてよくある質問
C++についてよく聞かれる質問は以下のとおりです。
〈C++のよくある質問〉
・C++を使ってゲームを制作する理由は?
・C++を使ったゲーム作品例は?
それぞれ回答していきます。
C++を使ってゲームを制作する理由は?
C++を使ってゲームを制作する理由は、以下の3つです。
- C++やC言語は約40~50年の歴史があるため、多くのソフトウェアやシステムに利用されているから
- ソフトウェア開発において実行速度や、メモリー効率の点で欠かせない言語となっており、性能向上に貢献できるから
- ハードウェアを制御することを目的に開発された言語だから
このように、複雑な言語であるものの信頼性と高性能を兼ね備えており、さまざまな分野で活躍しています。
C++を使ったゲーム作品例は?
以下は、C++を使って作成されている代表的なゲーム作品です。
- Fortnite
- ドラゴンクエストXII
- ストリートファイターV
- FINAL FANTASY VII REMAKE
- スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー
上記のゲーム作品は、Unreal Engineのゲームエンジンを活用して作られています。
まとめ
今回は、C++を使ったゲーム制作方法と注意点について解説してきました。ゲームを制作するには、「ゲームコンセプトを決めて仕様書を作成する」→「パソコンの開発環境を整える」→「アーキテクチャを設計する」→「プログラムを実装しデバッグを繰り返す」の流れが大切です。C++でゲームを制作するメリットは、さまざまあります。しかし、プログラミング未経験者にとってC++は複雑な言語であるため、知識の習得や経験を積むまでに時間と労力がかかるでしょう。C++を使えるようになると、ゲーム制作以外にも幅広いシステムで活躍できます。ゲームをこよなく愛している人は、いずれ「自分でゲームを作ってみたい」と興味を持つでしょう。ぜひ、ゲーム制作に携わってみたい方は、ゲーム業界に転職してみてはいかがでしょうか。